黒人演歌歌手が現れた。ジェロというペンシルベニア州出身の若者だ。ペンシルベニア州といえば、世界で初めてペンシルが生産されたところだ。いやそうではない、世界で初めてベニヤ板が作られたところだ(どっちもウソ)。
音だけ聞いていると完全に日本人歌手に聞こえる。恐れ入った。彼のおばあちゃんが日本人であるとはいえ、こんなに完璧とは……
欧米の音楽を、寸分違わずまねようとする日本人は多い。クラシックはもちろんのこと、ブルース、ハードロックなどなど、キリがない。私のファドもそうだ。が、その逆は少ない。津軽民謡を歌うドイツ人とか、河内音頭を歌うイタリア人など聞いたことがない。
しかし、そんな人がいたとしたも、日本人から見ると、音楽性の評価より珍しさの方が先に立ってしまうだろう。はっきり言って奇異な感じをまず受けてしまう。要するに大方の人は「ゲテモノ」としてしか受け止めてないのではないだろうか。(日本でファドをうたう某ブラジル人も変人と言えば変人であるかも)
このたびのジェロ君についても、テレビで紹介している様子を見ると、日本人はニヤニヤと、苦笑しながら受け止め方に悩んでいるようだ。歌手として正面から評価するべきなのだろうが、何かおかしさの方が先行してしまう。
リスボンでファドを歌う日本人は、どう受け止められているのだろうか。日本人は、「演歌は日本人の心」などといって、外国人には分かるものか、と偏狭な思いこみを持っている。ファドについてもポルトガルの人は、日本人以上にこだわりを持っているかもしれない。日本人がファドをうまく歌えば歌うほど、芸達者な猿回しの猿と思われるのではないかと、不安と期待の毎日である。