タマエ
「神よ許し給え」
「給え」って、尊敬語だろうか。そうなんだろうなあ。給うって、上から下に物を与えることだものな。じゃあ、給食は上から下に食事をくれてやることか.。封建時代じゃあるまいし、今の感覚ではちょっと失礼ではござらぬか。こんなことだから、給食代を払わない親が出て来るのではないか。違うか。
じゃあ、「給食の献立」ってなんじゃ。献は下から上に物をあげることではないのか。給と献を一緒に使うのは矛盾ではないか。こんな日本語を小学生に教えていいのか。
「君、いい加減にし給え」
なんくせが過ぎたので、「給う」に話を戻す。この場合の「給え」は何だろう。「いい加減にしろ」というと角が立つので、尊敬語の給えをつけて、話を丸くしているのである。同輩か目下の人に言っているので、この場合は尊敬語というより、尊敬のふりをした丁寧語といったほうがいいだろう。
しかも、最近はあまり聞かない言い方になった。「そこの派遣のお嬢さん、ちょっとお茶を入れてくれ給え」などと言おうものなら、「気取ってんじゃねえよ」と、お茶をぶっかけられるのが落ちである。
婉曲表現やら待遇表現やらって面倒臭いね。
ところで、ポルトガル語の動詞には、命令法という活用がある。でも、これは主語がtuとvósの時のための活用。vósは文語なので会話では使わない。tuなら使えるが、親しい間柄に限られる。これでは、ひと様にものを頼めないじゃないか。それで普通は、接続法3人称現在(1人称も同形)を使う。これが「~して下さい」という丁寧な命令になる。
接続法ナンタラカンタラといっても分からんぞ、という時は活用語尾をヤマカンで「e」か「a」にしてしまうという手もある。(正確にいうとar動詞はeに、er動詞とir動詞はaにする)。が、eとaを逆に言うと、結局命令法2人称(tu)と同じになってしまう。へたすると喧嘩になったりして。それが心配なら、必ず「Faz favor」を付け加えておけば、危険回避にはなる。
ややこしい動詞変化など憶えていられない旅行者などは、「O senhor/A senhora pode ~(動詞原形) ?」が便利だと思う。podeは英語のmay/canで、直説法3人称現在。podeを直説法不完全過去のpodiaにすればさらに丁寧になる。「~して頂けますか」ってな感じかな。さらに、直説法過去未来のpoderiaにすればもっと馬鹿丁寧になる。
旅の者としては、とりあえずヤミクモに「Pode(Podia) ~ ?」と言っておけば間違いなさそうだ。
どこの言葉にしても、婉曲な表現というのは、時勢や人称をずらすことにそのカラクリがあるようだ。「英語の婉曲表現」という本は売っているが、ポルトガル語のは見当たらない。どなたか、書いてくだされば幸いに存知奉る。